坂本工業では私傷病により休みがちな従業員がおり、先日、木戸部長に1ヵ月休職したいという申し出があった。このようなケースは初めてのことであったため、社労士に相談することにした。

 先生、こんにちは。さっそくですが、休職について相談にのってください。

 はい。従業員から休職の申し出があったということでしたが、状況を詳しく教えていただけますか?

 この従業員は製造部に所属し入社6年目になりますが、8月後半以降休みがちになり、8月に5日、9月に7日、10月に8日欠勤している状況になっています。先日、この従業員から1ヶ月間休職したいという申し出があり、どのように対応すべきか困っているのです。

 なるほど。まず大前提からお話しますと休職とは、従業員本人の申し出に基づいて取得させるものではなく、欠勤が続くなどの状況があり、会社が休職を必要と判断した場合に、従業員に対して命ずるものとなります。

 会社が判断して休職させるということですね。従業員から休職の申し出があれば、そのまま休職させなければならないものだと思っていました。

 そのように認識されている方は多くいらっしゃいますね。なぜ会社の方で従業員を休職させるか否かを判断し命じるのかというと、そもそも休職制度が労働基準法等の法令で義務づけられている制度ではなく、会社が任意に設けているものだからです。

 任意の制度とはいえ、多くの企業で休職制度を設けているのはなぜでしょうか。

 風邪で数日間欠勤するような場合は、年次有給休暇を取得することなどで対応できますが、例えば長期間の入院が必要となると、従業員はしばらく出勤できなくなります。そもそも会社と従業員の間には労働契約があり、従業員はこの契約に基づき定められた出勤日に労務の提供を行わなければなりません。したがって、長期の休暇となると労働契約を守ることができず、退職せざるを得ない状況となります。

 なるほど、そうですね。自ら退職を申し出るか、場合によっては解雇となることも考えられますね。

 しかし、会社にとってもこのような事情により従業員が退職することは大きな損失であることから、休職制度が設けられているのです。一定期間について退職を猶予し、その間で療養に専念し、回復した上で職場に復帰することを想定したものになります。他の休職事由も似通った考え方ですね。

 なるほど。そのような趣旨に基づいて休職制度が設けられているのですね。それでは、今回の休職の申し出について、会社としてどのように判断すればよいのでしょうか。

 まず医師の診断書を提出してもらい、その内容をもとに対応を検討する必要があります。そして、休職させる場合は会社から必ず休職を命じることになりますが、その際にはなるべく休職辞令などの書面を交付しておくべきでしょう。その前提には就業規則の休職事由に該当するのかということもありますので、休職の条項を確認しておいてください。

 わかりました。その他、休職に関してどのような点に注意が必要でしょうか?

 ご覧いただくと感じるかもしれませんが、休職の内容が就業規則を最初に作成したときのままになっており、近年増加しているメンタルヘルス不調により欠勤するようなケースに対応できていないこともあります。そのためにも確認し、必要があればこの機会に見直しをしておくことが望まれます。

 一度、就業規則を確認してみます。また見直しをする際には相談に乗ってください。

>>>次回に続く



 今回は、従業員を休職させる際の注意点について解説しましたが、メンタル不調により休職しておりなかなか復帰が難しい者に対して行っている職場復帰支援(リワーク支援)についてとり上げておきましょう。
 この支援は都道府県の障害者職業センターが実施しているもので、主な対象者、支援の内容は以下のとおりとなっています。

【主な対象者】
 うつ病などで休職期間が長期化している方、休職と復職を繰り返している方
【支援の内容】
 うつ病などをわずらっていても、対処方法を身につけながら、無理なく復職できるよう、以下の3点を提供し、復職に向けてのウォーミングアップを行っています。
   (1)生活リズムの立て直し
   (2)コミュニケーションスキルの習得
   (3)職場ストレスへの対処法の獲得を目的とするプログラム

 従業員の職場復帰にあたっては、このような公的機関が行っている支援を活用することも考えられます。休職に関してお困りごとや就業規則の見直しのご相談等がございましたら、当事務所までお問合せください。

■参考リンク
厚生労働省「職場復帰支援(リワーク支援)~精神疾患で休職していてなかなか復帰が難しい方を支援します~」
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_04_03rework.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。