この助成金は、6つのコース(正規雇用等への転換、人材育成、処遇改善、健康管理、短時間正社員、パート労働時間延長)から構成されていますが、今回はこの中から比較的活用しやすいと思われる以下の3つについてその概要をお伝えします。

  • ①正規雇用等への転換
  • ②人材育成
  • ③パート労働時間延長

1.正規雇用等への転換コース

[概要]

これは、有期契約労働者等を正規雇用等に転換または直接雇用(以下、「転換等」という)する制度を就業規則等に定め、実際に正規雇用等に転換等した場合に助成金が支給される制度です。

[対象となる労働者の要件]

対象となる労働者の要件は次の①から④となっています。

①次の(1)から(3)までのいずれかに該当する労働者であること

  • (1)雇用(有期労働契約に限る)される期間が通算して6ヶ月以上(ただし、無期雇用に転換する場合は6ヶ月以上3年未満)の有期契約労働者
  • (2)雇用される期間が6ヶ月以上の無期雇用労働者
  • (3)同一の業務について6ヶ月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている派遣先の事業所その他派遣就業場所において就業している派遣労働者(無期雇用労働者として直接雇用さる場合は、派遣元事業主での雇用(有期労働契約に限る)される期間が通算して3年未満の者に限る)

②正規雇用労働者として雇用することを前提として雇い入れられた労働者ではないこと

※有期実習型訓練により雇い入れられた労働者を除く

③正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換等される場合、当該転換等の前日から起算して過去3年以内に、次の(1)または(2)に該当していること

  • (1)正規雇用労働者に転換等される場合、当該事業主の事業所において正規雇用労働者または短時間正社員として雇用されたことがない者
  • (2)無期雇用労働者に転換等される場合、当該事業主の事業所において正規雇用労働者、短時間正社員または無期雇用労働者として雇用されたことがない者

④正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換等後に社会保険の加入要件を満たす場合、社会保険の被保険者となっていること

※社会保険の適用事業所に雇用される場合に限る

[事業主の主な要件]

受給できる事業主の主な要件は次のとおりとされています。

a.有期契約労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する場合および無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する場合

  • ①有期契約労働者等を雇用していること
  • ②雇用する有期契約労働者等を試験(面接試験や筆記試験等)等により正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換するコースを労働協約または就業規則に定めていること
  • ③上記②により転換された労働者を転換後6ヶ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後の処遇適用後6ヶ月分(通常の勤務をした日数が11日未満の月は除く)の賃金を支給していること
  • ④支給申請日において当該コースを継続して運用していること
  • ⑤上記②により無期雇用労働者に転換した場合、転換前の基本給より5%以上昇給させていること
  • ⑥当該コースの適用にあたり、適切な手続き、要件(勤続年数、人事評価結果、所属長の推薦等の客観的に確認可能な要件・基準、手続き、実施時期等をいう)が労働協約または就業規則等に明示されていること
  • ⑦上記②のコースを含め、雇用する労働者を他の雇用形態に転換するコースについて、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用していること

b.派遣労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者として直接雇用する場合別途要件が設けられていますので、詳細は当事務所または都道府県労働局へお問合せください。

[支給額]

  ①有期契約労働者→正規雇用労働者:1人あたり40万円(30万円)
②有期契約労働者→無期契約労働者:1人あたり20万円(15万円)
③無期契約労働者→正規雇用労働者:1人あたり20万円(15万円)

※1年度1事業所あたり10人まで
※対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、1人あたり①10万円、②5万円、③5万円を加算
※( )は大企業の額

2.人材育成コース

これは、有期契約労働者等に一般職業訓練(OFF-JT)または有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOFF-JT+OJTを組み合わせた3ヶ月から6ヶ月の職業訓練)を行った場合に助成金が支給される制度です。なお、人材育成に関する助成金については、このキャリアアップ助成金のほかに、35歳未満の非正規雇用労働者を対象とした「若年者人材育成・定着支援奨励金(若者チャレンジ奨励金)」、健康・環境・農林漁業分野等の事業を営む事業主を対象とした「非正規雇用労働者育成支援奨励金(日本再生人材育成支援事業)」が設けられており、どの助成金を活用できるのか、情報を確認する必要があります。

[支給額] 

1訓練コースにつき以下の額が支給されます。

OFF-JT分の支給額

賃金助成・・・1人1時間あたり 800円(500円)
経費助成・・・1人あたり 20万円(15万円)を上限

OJT分の支給額

実施助成・・・1人1時間あたり 700円(700円)
※1年度1事業所あたりの支給限度額は500万円
※( )は大企業の額

[対象となる労働者の要件]

  • ・一般職業訓練・・・原則、事業主に従来から雇用されている有期契約労働者等であること
  • ・有期実習型訓練・・・事業主に従来から雇用されている有期契約労働者等または新たに雇い入れられた有期契約労働者等であること

[事業主の主な要件]

助成金を受給できる事業主は、次の①から③までのいずれにも該当する必要があります。

  • ①有期契約労働者等を雇用するまたは新たに雇い入れていること
  • ②対象労働者に対し、職業訓練計画を作成し、管轄労働局長の受給資格認定を受けていること
  • ③受給資格認定に係る職業訓練計画に基づき、訓練を実施していること

3.パート労働時間延長コース

これは、週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場合に助成金が支給される制度となります。これは、社会保険の適用基準を満たす労働時間まで延長することで、労働者の能力のさらなる活用につなげていくことが目的とされています。

[支給額]

1人あたり10万円(7.5万円)
※短時間正社員コースの人数と合計し、1年度1事業所あたり10人まで
※( )は大企業の額

[対象となる労働者の要件]

対象となる労働者の要件は、次の①から⑤までのいずれにも該当することが求められます。

  • ①事業主に雇用される週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等であること
  • ②週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等として雇用後、6ヶ月以上経過している労働者であること
  • ③週所定労働時間を30時間以上に延長した時点から起算して、過去6ヶ月以内の週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等であること
  • ④週所定労働時間を30時間以上に延長した時点から起算して、過去6ヶ月以内に社会保険の適用を受ける労働者でなかった有期契約労働者等であること
  • ⑤週所定労働時間を30時間以上に延長した後に社会保険の被保険者となっていること

[事業主の主な要件]

助成金を受給できる事業主の主な要件は、次の①から⑤までのいずれにも該当する事業主とされています。

  • ①雇用する週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等について、当該週所定労働時間を30時間以上に延長していること
  • ②上記①により週所定労働時間を30時間以上に延長後、6ヶ月以上経過していること
  • ③上記①により週所定労働時間を30時間以上に延長後、直ちに当該労働者を社会保険に適用していること
  • ④上記①により週所定労働時間を30時間以上に延長した際、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした「労働条件通知書」または「雇用契約書」を作成し、交付していること
  • ⑤支給申請日において当該コースを継続して運用していること

この助成金はコースを併用して活用することができ、例えば、人材育成コースの有期実習型訓練の終了後、正規雇用等に転換し、正規雇用等転換コースの適用も受けることも可能となっています。

今春は助成金の統廃合が多く行われたことから、最新の助成金情報を確認しておくことが求められます。その際には、当事務所もしくは都道府県労働局をはじめとした助成金を管轄する官公署までお問い合わせください。

■参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金」

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/dl/careerup_leaflet.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。