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③中退共と企業型DCを比較
2023.09.26
こんにちは。
中小企業サポートセンター/企業型DC部・マネージャーの川浪です。
先日、とあるお客様から「ウチ、中退共(中小企業退職金共済)にすでに加入しているけど、企業型DCとどう違うの?」という質問を頂戴しました。
中小企業の退職金といえば、中退共が有名ですね。
しかし、総合的に考えると企業型DCの方が会社にとっても従業員にとってもメリットが大きいと言えます。
今日は中退共と企業型DCを比較してそれぞれの特徴を記載していきます。
中小企業退職金共済(中退共)とは?
中退共は自社単独で退職金制度を準備することが難しい企業のために用意された共済制度です。
運営機関は独立行政法人勤労者退職金機構が行っており、2023年現在、約37万事業所・354万人が加入しております。
退職金制度がある中小企業(従業員数30~90名)のうち約半数が加入しているほど人気の制度です。
その人気の理由は国の助成制度があり、新規に加入した場合や掛金を増額した場合、一定期間かけ金額の2分の1(上限5,000円)の助成が得られるからです。
中退共のデメリットと企業型DCのメリット
長い歴史があり、人気のある中退共ですが企業型DCと比べるとデメリットや制限となる部分も多々あります。
それらの確認と共に企業型DCを比較してみましょう。
①掛金の少なさ
中退共の掛金は最大で1か月3万円、年間36万円までです。30年間積み立てたとしても累計で1,080万円にしかなりません。
若手の社員にとっては良いかもしれませんが、中堅やベテランなど掛ける年数が少ない方にとっては将来の受取額に不十分さを感じさせるかもしれません。
それに対して、企業型DCでは最大で1か月5万5千円まで掛けることができるので中退共の1.8倍拠出することが可能です。
②運用利回りの低さ
中退共の退職給付金は、基本退職金+付加退職金となっておりますが、基本退職金の予定利回りは約1%となっております。
付加退職金はその時の金融情勢にも寄りますが、「0」となる年も多く、非常に低い利回りなのでほとんど増えることはないというのが実情です。
それに対して、企業型DCだと運用内容によって利回りは異なりますが、過去の実績から見ると3~5%程度は十分期待できます。
運用期間が長くなればなるほど、運用利回りの差は大きくなります。
③社長や役員は加入不可
中退共は社長や役員の方の加入が不可能です。
企業型DCは社長や役員の方も加入可能です。
④企業規模による制限
中退共に加入できる企業には規模による制限があります。
例えば小売業の場合、「常用従業員数50名以下または資本金5,000万円以下」などのような感じです。
会社が成長してその規模を超えると加入できなくなります。
企業型DCは企業規模による加入制限はありません。
⑤従業員は原則全員加入しなくてはならない。
中退共は全員加入が原則です。つまり勤続3年以上だけの者を加入させるということはできません。
企業型DCだと選択制を採用すれば加入するかしないかは任意になります。
(選択制DCについては別記事で改めて解説します。)
⑥加入期間が短いと不利になる。
中退共は長期加入者を優遇するような設計がされているので、加入期間が短い時点で退職すると極端に不利になる設計がされております。
例えば加入期間が12か月以上ないと支給されず、11か月以下で退職した場合、支給額は「0」なので払い損になります。
また12か月以降も23か月以下ならば支払った金額よりも支給額は少なくなります。
24か月から42か月までの間の退職でようやく支払った金額と同等の支給額を受け取ることができ、43か月以上で初めて掛金よりも少しだけ増え始めるという具合です。
企業型DCは60歳まで引き出せないものの、拠出した金額は口座に残したまま退職することが可能です。
⑦事業主返還ができない
中退共の場合、1~3年程度での短期退職でもトラブルを起こして辞めた社員に対しても規定通りの退職金が満額支払われます。これは経営者にとっては不利に感じるのではないでしょうか?
因みにですが、1年未満の退職だと退職金は支払われませんが、掛金の会社への返還はなく、掛け捨てになります。
それに対して企業型DCは加入から3年以内の自己都合退職時には掛金相当額を事業主に変換する設定が規約によって可能です。
以上、中退共と企業型DCの比較をしてみました。
60歳まで引き出せないという拠出の制限はあるものの、企業型DCの方が運用面で会社の事情に合わせやすいと言えます。
退職金制度の導入を検討、相談したい場合はお気軽にお問い合わせください。
中小企業サポートセンター
企業型DC部・マネージャー 川浪
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